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  • Aiko Ikeda

file.06 髙須 健 Ken Takasu

更新日:2023年9月5日

※2021年3月時点の情報です。

日本一コスメビジネスのしやすい場所・佐賀へ

~スタートアップと県内企業をつなぐ伴走者~


2020年度、ジャパン・コスメティックセンター(以下、JCC)と佐賀県庁コスメティック構想推進室、オープンイノベーションプラットフォームを運営するCreww(クルー)株式会社により、ひとつのプログラムが始まりました。

その名も、「SAGAN BEAUTY & HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020」。


コスメ産業の集積を目指す佐賀県で始まった全国初の取組みなのですが、この取組みにあたって必要不可欠な“インキュベーション・マネージャー”としてJCCに加入したのが、今回取材させていただいた髙須健さんです。


採用が決まってからわずか2週間で唐津に引っ越してきたというフットワークの軽い髙須さんに、現在関わっているプログラムのことやこれまでの歩みについてお話いただきました。



花園経験者のコンサルタント


事前情報によると人見知り、と聞いていた高須さんでしたが、あらわれたのはテキパキと記事構成や使用画像にまで目配りをしてくださる、まさしく“やり手マネージャー”。どのあたりが人見知りなのかと疑問だったのですが、個人的な質問や撮影に入ると、その真面目な人柄とシャイさがうかがえました。



東京の団地で育ったという髙須さんは現在37歳。やっと表情がほぐれたのが、中学から打ち込んだというラグビーについてお聞きしたときのことでした。國學院久我山で中高とプレーし、高校時代には花園での全国大会も経験。立教大学に在学時は元日本代表の五郎丸選手と対戦したこともあるそうです。ちなみにポジションは「フォワードの6、7、8番あたりをうろちょろ」とのこと。


大学では経済を学び、卒業後は広告代理店の最大手電通へ入社。その後はDeNAやアパレル会社、中川政七商店などで企業のブランディングやプロデュース、コンサルティング業務などを経験しつつ、コンサルやコーヒーの卸、飲食のブランド立上げなどを行うご自身の会社も2011年に創業(現在10期目)。2014年には大学院のビジネススクールにてMBA(経営管理学修士)も取得されています。


―これまで多くの経験を積まれていますね。


髙須:最初はプロモーションの仕事からでしたが、携わっている事業の収益性や事業計画などを知らずにブランディングはできません。代理店から事業会社に行って経験を積むうちに、今度はその事業も自社の事業計画と紐づいていたりして、やはり経営がわからないことには、となり、大学院に行こうと思いました。結局全体のことを把握しようとすると、これもわからないといけない、こちらも、と足りないところを埋めていくうちに次のステップに移ったという感じですね。クリエイティブ的なこともあれば、事業計画だったり、そこの全部の整合性がとれてはじめて、本当の意味でのブランディングだと思っています。



中川政七商店で得た佐賀とのご縁


―佐賀にはJCCに入れられる前から何か関わられていたのでしょうか。


髙須:中川政七商店にいた頃、コンサル事業として佐賀県内の事業者さんのお手伝いをしたのが仕事で佐賀と関わった最初ですね。退職してからも県の担当の方からたまにご連絡いただいていて、お付き合いが続いていました。

それで今回の佐賀でのプログラムが立ち上がる際に、「JCCでコンサルなどができる人を探していて、良かったらやってみませんか」という話をいただきまして、採用に応募しました。

佐賀県庁展望台より佐賀平野を望む

―2020年の6月に唐津に来られたんですよね。


髙須:緊急事態宣言が明け、こちらの採用が決まってから2週間で唐津に引っ越しました。当初はもっと東京との行き来が多い予定だったのですが、かなりの打合せがオンラインに切り替わりましたので、週に1回佐賀市内の県庁に行って打合せをする以外はだいたい唐津にいます。


―2週間で引越しですか!身軽ですね。


髙須:東京育ちですし、学校も地元の公立に通わなかったので、いわゆる地元の友人なども少なくて。土地への愛着はそれほどないため、フラッとどこへでも行きます。そこでやれることがあったら行く、という感じですね。


SAGAN BEAUTY &HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020

画像提供:JCC

髙須さんが関わっているのが、「SAGAN BEAUTY &HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR 2020」という、佐賀県内に拠点を置く企業と全国のスタートアップ企業とのオープンイノベーションによる新たな事業創出を目的としたプログラムです。

スタートアップやオープンイノベーションといった言葉が使われだして久しいですが、今回のプログラムをわかりやすくいうと、革新性を持った外の企業や人材の知恵を借り、これまでになかった事業を共同開発(協業)していくこと、といった感じでしょうか。


ここで重要になるのが、起業からブランディング、事業計画といった企業のコンサルティングを熟知してスタートアップ企業と県内企業の連携をサポートでき、同じ方向を向いて伴走できる専門人材の存在です。JCCでの髙須さんはこちらにあたり、双方の企業のみならず、運営を担ったCrewwや、佐賀県庁などからも絶大な信頼を寄せられています。


今回の事業を委託した県庁の佐賀県コスメティック構想推進室の西島俊太郎さんは、髙須さんの仕事ぶりについてこう語ってくれました。


西島:髙須さんは、事業開発についての勘所もわかられていて、本当に即戦力です。佐賀県はJCCの発足から一緒にやってきましたが、今回のプログラムは7年間のコスメ事業ではやってこなかった新規事業になります。手探りななか、高須さんはそつなく県外のスタートアップ企業と県内の協業企業さんの橋渡しをしてくださっています。マッチングだったり事業の開発支援だったりと、スタートアップ全般の支援をうまく進めていただき、県庁内の信頼も厚いです。いままでのJCCの機能としてなかった部分ですし、県としてもスタートアップ支援をきっかけにコスメ産業の集積を加速化させていきたいと考えていまして、その最適な人材として、髙須さんのようなチャレンジしてくださる方が来てくださって助かっています。


2020年度は、県内で公募した4社に対し、スタートアップ企業から81件のエントリーがあり(複数応募含む)、さまざまな事業創出の提案がなされました。最終的に採択された10件が実証実験を終え、新年度からはさらに踏み込んで協業が進められていくそうです。

サガテレビでの打合せの様子 ※撮影時のみマスクを外していただいています。

県内の参加企業には、オーガニックコスメの株式会社クレコスや、化粧品の輸入代行や成分分析を行う株式会社ブルームといったコスメ事業を主体とする企業だけでなく、放送事業のサガテレビや麦茶で知られる三栄興産株式会社の名前も見えます。


採択された協業テーマも「オーガニックペット用品の開発」「プラズマ殺菌装置を活用した貯蔵みかんのカビ発生率の抑制による長期保存の実現」「AI技術による佐賀県スポーツの活性化」「バングラデシュへ日本の麦茶、日本の食文化の提案」「農産物の安定供給のために廃棄物を出さない産業化」「各国の法規制チェックを可能にするプラットフォーム開発」と実に、さまざま。


オンラインで行われた今年度の最終報告会の様子はYouTubeで見ることができますが、佐賀でこれまでになかった新たな事業が始まるという期待が高まります。


最終報告会


できることを増やし、貢献のレベルを上げていく

2021年度以降は、2020年の参加企業のフォローアップを続けつつ、将来的にはコスメのスタートアップ企業を佐賀県内に誘致したりといった仕掛けも検討中とのこと。2021年度以降も「SAGAN BEAUTY & HEALTHCARE OPEN ACCELERATOR」は、さらにブラッシュアップされたプログラムとして、県内でビジネスを興すことを支援し、世界で活躍するスタートアップの創出の機会を広げていくことになります。


佐賀県コスメティック構想推進室の西島さんによると、「県としては、スタートアップ企業の方がコスメ事業をしやすい環境をつくっていきます。将来的にそういった方が集積して、さまざまなビジネスモデルの創出が佐賀県から世界に向けて少しずつされるような仕掛け・仕組みづくりをやっていきたいですね。JCCさんは海外のコスメティッククラスターと提携されていますし、国内に限らず、海外も含め、いろいろな属性を持ったプレイヤーさんが集まるような環境をつくれるようにしたいです」とのこと。

佐賀県コスメティック構想推進室の西島さん(左)と高須さん

―髙須さんに今後どういったことを期待されていますか。


西島:スタートアップ企業の事業開発支援ですね。スタートアップ企業は事業をスケール(規模拡大)させたり、ノウハウもネットワークもないなかで資金調達を含めて、経営資金も少ないところで活動をされている方も多いので、ぜひそういった部分のサポートと、県内へのプレイヤーの集積を一緒に進めていきたいです。期待しています!


髙須:頑張ります(笑)


―髙須さんの今後の目標について聞かせてください。


髙須:なんというか、以前のほうが前進している手応えがありました。「あれが足りないからこれ」という感じで。いまはある程度知識や経験ができてきましたので、この先のステップアップをどう考えているのかというのは、また別の話として考えないと、と思っています。自分のできることをどう広げていくか、ということもありますが、少なくとも何かしらの役に立てるようなことをし続けていきたいです。今回の事業で関わった県内企業様もスタートアップ企業様もそうですけれど、皆様にとって多少なりともプラスになるようなことになっていたらいいなぁと思っています。

そして、その提供しているレベルも上がっていくに越したことはないと思っていますので、貢献し続けることと、貢献のレベルを上げていくことが目標ですね。



髙須さんにお会いして印象的だったのは、言葉の使い方でした。取材だから、ということはあると思いますが、反射的に話すのではなく、慎重に、しっかり頭を使って考えたことを相手に伝えていく。そういった姿勢が安心感につながり、「この人でなくては」という信頼となっていくのでしょう。


新規でビジネスを始めるとき、“信頼できる人”の存在はとても大きなものがあります。まずはその初手として、髙須健さんという人材が佐賀に来てくれたことで、コロナ禍にありながらも大きな一歩を踏み出すことができました。


「佐賀から世界を変えるビューティ&ヘルスケア事業の創出を目指す」ための次の一手がどう打たれていくのか、楽しみでなりません。


                            PHOTO: Koichiro Fujimoto


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