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  • 執筆者の写真JCC編集部

[ ブランドインタビュー ] さがジビエ 坂本竜一さん

更新日:2023年9月5日

佐賀のご縁で誕生し、地域課題解決の一端を担うイノシシ油のバーム


「お客様から嬉しいレビューをいただくと、それがチカラになりますね。肌トラブルで悩んでいた妻も、我が家の子供たちも使っている保湿バームなので自信があります」と坂本さん


固形のオイルを主な原料とするバームは、顔だけでなく全身に使える保湿コスメとして人気です。今回登場する「ボアボアビューティーバーム」は、なんと佐賀県産のイノシシ油が主原料。その背景には、「価値がないとされているものに価値を与えたい」という強い想いがありました。企画・開発から販売まで、異業種から奮闘し続ける「さがジビエ」の坂本竜一(りょういち)さんに、商品化の経緯やこれからの展望などをうかがいました。


「いいものだから活用したい」その想いでスタートした異業種からの挑戦。

ーーイノシシの油のコスメはとても珍しいです。この商品を作ったきっかけに、何かストーリーがありそうですね。

そもそもは、佐賀産イノシシを広めることから始まったんです。以前僕は父が経営する建設関連の会社で働いていたのですが、2014年に食肉卸業に進出することになり、その会社の社長に就任しました。同時期にグループ会社としてグリルレストランも開店しました。北海道のエゾシカやイノシシなど良質の食材が調達できたので、その環境を活かしてジビエを提供していたんです。


お店が軌道に乗った頃、たまたま佐賀市役所の方から「イノシシ(肉)を扱っているなら、佐賀の大和に処理施設※1があるので、一度訪ねてみてください」とお話をいただいて。そこでイノシシを購入してスタッフと食べた時に「これはおいしいね」と感激し、「でもこの味を知らない人が多いのでは」と思ったのです。それで「さがジビエ」として、イノシシ肉の加工食品を販売するようになったんですよ。

※1 農作物の鳥獣被害対策として捕獲した野生イノシシを解体処理する施設。



お話をうかがったのは、グループ会社のグリルダイニングディア。佐賀県産イノシシ肉をはじめとしたジビエ料理が人気のレストラン


ーー佐賀県は、農家の鳥獣被害が問題になっていますし、中でもイノシシの被害※2が大きいと聞きます。捕獲後のイノシシの有効活用にもなりますね。

最初は「おいしいものが知られてないから、使っていこう」という方針でした。それから、「鳥獣被害対策で捕獲したイノシシが有効活用できるなら、なおいいよね」と。取り扱い出すと現場の状況が気になって、施設の方に「今捕獲したイノシシはどうなるんですか」と聞いたんです。すると、冷凍保管していても消費に回らないので、在庫がどんどん溜まっていく。その結果、古いものから廃棄せざるを得ないのだそうです。消費促進のために道の駅や東京で販売しても、「もう全然(売れない)よ」と。

ーー本当は活用されるのを待っているのですね。

そうです。都会ではジビエブームもあって、徐々に消費に回るようになったと思いますが、地方ではイノシシ=おいしくないイメージがあるようで…。そういった中で、スタッフの皆がジビエのイメージを良い方向に持っていこうと頑張ってくれていました。


すみません、前置きが長くて。

ーーなるほど。そして、いよいよイノシシの油と出合うのですね。

はい。吉野ヶ里にも新たな施設ができて、そちらにもひんぱんに通うようになりました。そこの方から「イノシシの油を付けるとしっとりする」と聞き、興味が湧いて自分でも調べてみました。イノシシ油の組成は人間の皮脂に近いので、肌なじみがとてもいいことが分かったんです。ネットで検索するうちに、イノシシ油のコスメを販売している愛媛県の企業を見つけたので、購入してみました。商品の裏を見ると、製造販売元が佐賀県佐賀市のOEM企業さん。「わぉ、地元じゃん!」ということでさっそく電話したんですよ。「イノシシ油の商品を購入してネットで調べたら、御社のサイトでOEM委託製造しますとあったので、弊社の商品も作ってもらえますか?」と。

ーーいきなりOEM会社さんに聞かれたんですね!

はい、僕はすぐ電話する性分なので。その時のOEM会社さんの回答は「原料さえあればできますよ」と。僕たちがイノシシ油を調達して作る場合、何度も精製してやっと商品の原料になるそうです。1回の商品製造の作業として成立する油は、これくらいあればいいという量を教えていただきました。それで僕は、吉野ヶ里の施設の皆さんに「イノシシ油のコスメを作りますので、油を貯めてもらえませんか」とお願いして、購入しているんです。



「興味が湧いたらすぐ取引先やキーパーソンに電話してしまうんです」と坂本さん。「失敗もたくさんありますが、かすり傷みたいなものですから」と前向き


ーー素材として数百キロもの量が必要になるんじゃないでしょうか。皆さん、「坂本さんが一生懸命だから」って協力してくださるのでしょう。

そうだったら嬉しいですね。施設の皆さんにとって、油を取ったり、貯めるのは大変な手間だと思います、通常なら廃棄しているものですから。


最初に開発した商品は、無香料の“ナチュラル“。家族全員で使えるタイプで、坂本さんのお子さんたちにも大人気


ーー化粧品開発はそのOEM会社さんに相談されたのですね。

はい。作ると決めてから、半年ほどで「ボアボアビューティーバーム」が完成したんですよ。それが2019年10月です。

ーー半年で! 開発・製造はとてもスムーズにいったのですね。

ですが、そのあとがとても苦労したんです。僕たちに化粧品を売る知識が全然なかったからなんです。



商品の完成後、どう売るかの壁にぶつかり、新型コロナの影響に巻き込まれながらも諦めることはしなかった



「もっとこの商品で喜んでくれる人を増やしたい」、この想いが支えになってくれる。


ーーではこの商品を売るために、どのようなことを実践されましたか?

地元の化粧品を販売してくれそうな企業のホームページを見て、問い合わせフォームに直接「こういうコスメを作っているので、お取引いただけませんか」と、メールを送りました。何十通と送った中で、OKをいただいた企業さんは今も取り扱っていただいています。

また、行政の広報で佐賀県のコスメティック推進室を知り、さっそく「佐賀県産イノシシ油でコスメを作っていますが、販売で悩んでいます」と電話しました。その時にJCCを紹介されて、何度か相談に乗っていただいたりして。2020年5月のハナマルシェにも出展する予定でした。

ーーしかし、新型コロナの影響で中止になってしまいましたね。十分な商品PRができなかったのでは。

いろんなイベントに参加して、PRする予定でしたが、その機会がなくなってしまった。お披露目する場がSNSくらいで、今もずっと手探り状態が続いています。もともと食品で「えっ、イノシシ?」といわれるのは経験していますから、この商品が広まるのも時間はかかるだろうと思っています。となると、僕らが行って「使ってみてください」って伝えるしかないと。やっと一昨年の終わりぐらいから、福岡や東京に行けるようになってきました。

ーーいい商品ができたという自信があるからこそ、PR活動も続けられているのですね。

はい。お客さまから「ずっと肌の乾燥で困っていたけど、よかった!」といった感想をいただくと、自信になります。僕にもっと広める力があれば、もっと届けることができれば、この商品で喜んでくれる人がもっと増えるんですよね。この気持ちが大きな支えになっていると思います。



第2弾開発商品は、石垣島の月桃の精油と愛媛の伊予柑の精油を配合。 深呼吸したくなるナチュラルな香りとしっとり感が楽しめる



イノシシ油のコスメを、地域課題解決の成功事例にしたい。


ーーそれにしても、原料の調達から開発・販売までこぎつけられたのは地元・佐賀のご縁が大きいですね。

そう思います。JCCとの繋がりで昨年のダイエットアンドビューティーフェア※3に出展することができましたし。おかげさまで評判もよく、展示だけの予定でしたが購入希望の方もいらっしゃいました。その後、武雄の新幹線の駅にある武雄旅書店さんを紹介してもらい、商品を置いていただけるようになりました。いつもいいタイミングで、出会った人が助けてくださるんです。

※3 コスメをはじめ、美容機器やインナービューティー業界など、さまざまな美容・健康業界のプロが集う展示会。


ーーそれも食品のイノシシの活用・消費促進に取り組んできて、その上でイノシシ油のバームを手掛けたからですね。



『ボアボアビューティーバームのお試しサイズ。少量でもしっかり使用感を確かめられる



ずっと、これまで価値がないとされていたものに価値を与えたいと思ってやってきました。僕がお付き合いさせていただいている施設は数箇所ですが、流通のサイクルが回るようになればイノシシを廃棄しなくていいし、捕獲したイノシシの買取価格も上がり、鳥獣被害が減って農家さんも助かる。そんな未来に繋がるでしょう。


食品もですが、イノシシ油のバームがビジネスとして成功することで、周囲の見方も変わるのではと考えています。それが、他の都道府県の鳥獣被害で困っている地域の参考になるのではと。もちろんイノシシだけではないし、すでに何かの商品で有効活用されている事例はあると思いますが。「佐賀がイノシシで成功しているなら、我々もできるのでは?」と、広がっていってほしいです。だからこそ、なんとか成功させたいですね。


乾燥に悩む人々の肌を健やかにしながら、地域課題の解決にも役立つ「ボアボアビューティーバーム」。ご縁とタイミングがこの商品を作らせてくれたと語る坂本さんの目にも希望が宿っている



株式会社鶴商興産 代表取締役 坂本竜一

建設関連会社時代は飲食業にも興味を持ち、アルバイトをしていたことも。2014年より食肉卸業に新規参入し、現在は「さがジビエ」ブランドとして、鳥獣被害対策で捕獲されたイノシシ肉のソーセージや、イノシシ油の保湿バームを販売。催事出店も積極的に行っている。

さがジビエ https://sagagibier.jp/



 

Text:山内 有紀


ライター、コスメコンシェルジュ。広告制作会社を経て、2016年よりフリーランスに。化粧品や健康食品のコピーライターとして活動。2017年よりJCC会員。地域素材がコスメの原料になることを知り、ブログで日本各地のご当地コスメを紹介している。



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